the essence

2022/10/28

vol.5【リバーコート】センチメンタルな季節、私を癒してくれるもの
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」

先日夫から唐突に 「ストレスが溜まったらどうしてる?」 と質問されました。 「え、もうかれこれ10年以上一緒にいるからわかるでしょ?」 と返しつつ、そういえばどうしてるっけ…とそのあと電車の中でひとりで考えていました。

自分で言うのもなんですが、私は基本的に穏やかな人間です(笑)。とはいえ、なにがあっても穏やかでいられるストレス耐性バリバリ高い系人間というわけではなく、むしろその逆。他人からしてみたら 「え、そんなこと?」 と思うような些細なことでも気になると夢に見るほどです。

幼いころ、両親から 「文は我慢強いコだね」 なんてよく褒められていました。そう褒められれば褒められるほど、 “我慢” を頑張っていた記憶はめちゃくちゃあります。実際は、ストレスでおなかが痛くなっていたこともあるし、今思えばまったく向いていなかった営業職をしていた20代も肌がボロボロでした。

その20代のころに知り合った夫には 「向いていないことはやめていいのに」 ととてもシンプルに諭され(笑)、今は運良く大好きなファッションや雑誌の仕事に携わり、ストレスを感じる前に回避する術もようやく身についてきました。私にとって、環境をかえることが重要だったんですね。

夫はというと、彼もまたとても穏やかな性格ですが、私よりストイック。そんな彼のストレス解消法は “お風呂” “マッサージ” “香り” 。お風呂に1時間くらい浸かったあと、出張後のマッサージ帰り、部屋の掃除をしたあとお香に火を灯すとき… 「生き返ったーー!」 と叫んでいます(笑)。

私はその3つともそんなに興味がなく、ストレス発散法としてパッと思いつかない。うーん、じゃ私にとっての癒やしって…。やはりファッションなのかもしれません。特に素材のいいものを着たときはやっぱり気持ちがほぐれます。

たとえば、今季の私のイチオシ(いっぱいあるんですが)のリバーコート&スカート。 vol.4でもちらりと触れていますが、2022awのBEIGE, はとにかくショート〜ミドル丈アウターが豊富で、その中でも特に楽しみにしていたのがこちらです。


ウールのなかでもスーパー100という特に繊細な毛を使った上質な素材。それを毛羽立つのをおさえてメルトン仕上げにしています。一般的に “メルトンコート” というと、ずっしり重たい印象がありますが、これはメルトンらしい中厚手ではありつつ、リバー仕立てになっているので軽やかさもある。


シャツのようなシンプルなデザインとスナップボタン、ヒップにかかるくらいの短め丈のおかげで、どんなボリュームのボトムとも相性がいい。基本全部留めてクラシカルに着るのが気分ですが、開けておいても品のいいゴールドが効いてアクセサリーいらずです。


同素材のミニスカートと合わせて。今季すでにいろいろな大人向け雑誌にひっぱりだこのこちらは、ほんのり台形型でロングブーツがよく似合います。このチャコールグレーのセットならば、足元は一段淡いグレーのマットなタイツを合わせて白スニーカーをもってきても素敵でしょう。妄想すればするほど、元気が出てきました!


…というわけで。冒頭の夫からの質問の返事をこちらで(笑)。

「夫よ。妻は今年の冬、ストレスはこのアウターとスカートでうまくかわしますよ」



ジャケット/¥64,900(税込)
カットソー/¥19,800(税込)
スカート/¥31,900(税込)




【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。