2019SSEssence

2019/04/26

【シアーニット】肌は「出す」より「透ける」へvol.15

インスタグラムを始めて、もうすぐ丸3年。アカウント開設前、なぜあんなに一歩踏み出すことを躊躇していたのか自分でもわからないくらい、今では生活の一部であり、仕事のツールのひとつになっています。

始めてよかったなぁと思うこと。その一、知らない人とフラットに意見交換できること。その二、微力でも誰かの役に立てていると実感できること。そして、その三、自分の過去を振り返ることが上手くなったこと。

「その三」は、完全に自分に矢印が向いていること。私にとってはこれがかなり大事で。過去の投稿をさかのぼると、当時の自分がちゃーんと自分に関する正確な情報を教えてくれます。たとえば同時季の服装。私の場合、写真だけでなく、その日の天気・予定・気分なんかも綴っているので、より鮮明に思い出されます。それに、コーディネートだけでなく、1年前の今ごろ自分は何を大切にして、何を目指して日々を過ごしていたのかを知ることができ、その上で今の自分との比較ができる———。ときどき立ち止まって、スクロールする大切さを感じています。

つい最近もクローゼットを整理しながら、「あれれ、5月って何を着ていたっけ?」と気になり、インスタグラムをスクロール。そうそう、昨年は背中の開いたニットやカットソーをとにかくたくさん着ていたのでした。私の場合、背中を開けていると健康的に見えると褒めていただけることが多いから、味を占めて自分の定番服と化していたんですね。

が、今年はちょっと別なものが気になっていて。それが【NORMA】シリーズのような「透ける」素材。一見びっくりするんですよ、これ。「え、すっけすけじゃない? どーやって着るの?」と(笑)。キュプラとナイロンという化学繊維を組み合わせていて、薄くて透ける素材なのですが、表面に光沢感がありハリも感じる。ニット編みなのに、デザインはシャツを模していて、落ち感のある上品なシャツを着ているような…透けているのに、なぜか安心感があるんです。

こういう日のインナーは、あえて潔くちゃんと透けさせるのが素敵。昨年から愛用している某ファストファッションブランドの、ブラトップ付きキャミソールを。色は白ニットには白、オレンジニットにはキャメル、同色見えするようにします。胸元のカットが深く切り込んであって、肌の透け具合にキレが生まれるのがいいんです。

来年の今ごろはどんなふうに「肌魅せ」をしているのか。先のことはまだわからないけれど、今年は思い切り、この透けるニットを堪能するつもりです。上/あえて、第一ボタンまですべて留める着方が私的にはツボ。だって、小さめの襟や比翼仕立てなど、計算されたデザインの素晴らしさを堪能できるから。
下/袖もほら! カフスとボタンのあしらいが、しっかりシャツ仕様です。

ロングニットシャツ/¥34,000(税別)
トップス/¥25,000(税別)

【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。