the essence

2023/04/26

vol.5【インタビュー】新チーフデザイナー船津氏「記憶に残る服をこれからも」
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」

全10回のコラムの中盤である今回は、BEIGE,の新チーフデザイナー・船津幸子さんへのインタビューをお届けします。

小林:春夏は「BEIGE,を初めて着てみたい」というかたも多い季節です。そういう皆さんにもずっとファンの皆さんにも、BEIGE,の特徴や大切にしていることなどをわかりやすくお伝えできたら…と思っています。よろしくお願いいたします!

船津さん:よろしくお願いいたします。私は3年前の2020awからBEIGE,に所属していまして、前チーフデザイナーの宮下とは、新入社員のころから別のブランドでアシスタントをさせてもらい、その後BEIGE,でも一緒に仕事してきました。これまでもこれからも、BEIGE,の“凛としたエレガント”という軸は、しっかり貫いていくつもりです。

小林:“エレガント”に加えて“凛とした”というのがBEIGE,らしいですね。

船津さん:そうですね。日本でいう“エレガント”って“可憐なもの”という解釈をされがちですが、BEIGE,が目指すのは、凛とした空気をはらんだエレガント。洋服としての佇まい、着たときの雰囲気でそれを表現しています。

小林:なるほど。BEIGE,の服には、つい毎日着たくなるという良さがあるな〜と実感しています。…というのも最近出産したのですが、独身のころから母親になった現在まで、自分のライフステージにかかわらず楽しめる服って案外少ないのかも?と気がついてしまって。BEIGE,の廃れない上質なシンプルさは、これからもずっとそばにいてくれそう! という安心感があります。

船津さん:うれしいです。BEIGE,が服作りをする際に大切にしている項目のひとつに「いつまでも記憶に残り続けること」というのがあるんです。着る人をより輝かせる服でありたいし、自分をもっている人が着るとBEIGE,の服もより輝く。シンプルだからこそ、そういう魅力があると思います。

小林:素敵ですね! 今季“BEIGE,デビュー”を考えているかたにオススメするとしたら、どのアイテムですか?


船津さん:BEIGE,といえばジャケットなので、やはりまずはジャケットを。今季は麻のジャケットが特にオススメです。あとはシルクのブラウス。どちらもカジュアルになりすぎない素材とデザインにこだわっています。今シーズンのテーマは「CITY GARDEN」なのですが、自然に触れたときの優しい気持ちが服を着たときにも感じてもらえたらいいな、と。リーフ・花をモチーフにしたレースやプリントも、かわいくなりすぎないように工夫しています。

小林:船津さんご自身も自然がお好きですか?

船津さん:好きですね。鹿児島で育ったので身近に自然がたくさんありましたし、キャンプで眺める満天の星も大好きです。星は今季のBEIGE,には入っていないですが(笑)。

小林:星のようにキラッと光る…でいうと(笑)、個人的にBEIGE,の服はファスナーも美しくて好きです!

船津さん:ありがとうございます。BEIGE,では基本的にゴールドのパーツを使用しており、そのなかでもギラギラしないゴールドにこだわっています。ファスナーは、YKKの「EXCELLA®(エクセラ)」という種類のもので、ムシ(ギザギザした部分)の角をちょっと削っているから滑りがよく、生地にひっかからない。とても上質なんです。

小林:細部にも着る人への気遣いを感じます。最後に、今後の目標を教えてください。


船津さん:これまでと変わらず、素材にはこだわっていきたいですね。昨年10周年記念アイテムを手にしていただいたお客様から、素材に対してのうれしいお声をたくさんいただいて。これまでの想いがちゃんと届いているんだな、と。デザインだけじゃなく、生地屋さん、糸屋さん、縫製工場さん…いろんな人がかかわっているし、みんなで作りあげられたらいいなと思っています。ものづくりって表層じゃないですから。

小林:ではぜひお店へ足を運んでもらいたいですね。

船津さん:はい。まずはぜひ触れてみてもらえたら、うれしいです!




【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。