the essence

2022/11/18

vol.7【きれい色】新しい友達と冬の新鮮トリコロール
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」

最近、新しい “友達” ができました。急速に親しくなって、週3ペースで会う仲。年齢は8歳。私との歳の差、29歳です(笑)。

あ、彼女は私の姪の友達。そもそも私と姪の家はごく近所。姪とクラスメイトであるその友達=Aちゃんは、一緒に下校してそのままAちゃんのマンションのロビーで遊んでから夕暮れ前に解散する…というのをほぼ毎日続けているようで。Aちゃんと私がたまたま同じマンションに住んでいるため、待ち合わせなしで頻繁にふたりに遭遇するわけです。

私たちが会うのは、マンションのロビーにある居住者用のフリースペース。散歩帰りに談笑する年配ご夫婦、黙々とテスト勉強する中学生、PCに向かって仕事する私のようなフリーランス陣…。

曜日や時間帯によってメンバーにばらつきはありますが、いろんな年代・立場の人が同じ空間で時間を共有。そのなかに学校帰りの姪とAちゃんもいて、宿題を終わらせたあと、学校から支給されているiPadでゲームを楽しんでいます。

Aちゃんは初対面からまったく物怖じしない女の子。お父さんの仕事の関係で最近までアメリカにいた帰国子女だからなのか? そもそもの性格なのか? 29歳離れたクラスメイトの叔母に、グイグイと話しかけてくるタイプ(笑)。「それ、なんのお仕事?」「(コンテを見て)この絵はなに?」「(モデルの着用写真を見て)私だったらこの洋服がかわいいと思う〜!」など。

私も以前から子どもを子ども扱いせずひとりの人間として接するタチなので、そういう意味で波長が合うのかもしれません。今日も私が仕事帰りに近所の八百屋さんで白菜を選んでいると、姪のケータイからふたりで電話してきて「今どこ? 遊べる?」と呼び出されました(笑)。

そんなAちゃん、ファッションもちょっぴりアメリカン。ランドセルじゃなくリュックだし、そのリュックは恐竜柄。「素敵ね〜」と褒めると、服やハンカチの恐竜柄も見せてくれ、「好きなんだ〜」と得意げ。だいぶ歳の離れた新しい “友達” は、私の生活に新鮮な風を吹き込んでくれています。

ちょっとした刺激は、今季のBEIGE,にも。

BEIGE,といえば、ベージュやグレー、ネイビー、ブラウン、ブラックなど、ベーシックカラーがお得意。もちろん、その中での濃淡や素材による色の表現は実に豊かで、それはこのコラムのいたるところでお伝えしてきました。

けれど、今回はひと味違う、ハッとするほど新鮮な配色なのです!

「Sage(セージ)」と「Valencia(バレンシア)」と名付けられたそれぞれの色。セージは少しくすんだ淡いグリーンで、BEIGE,を愛する大人世代にもなじみ深いきれい色、バレンシアは限りなく赤に近いオレンジで、ちょっとした冒険カラーです。

セージ色のカーディガンは身幅がたっぷりしており、一枚で着るというよりはカットソーやニットに重ねるのにちょうどいいサイズ感。

素材は、ウール、レーヨン、ナイロン、そしてカシミヤがミックスされていて、暖かさもしなやかさもハリ感もリッチなツヤ感だって併せもっている。一段淡いセージ色のレザーポケットがまた上品なアクセントを添えています。

パンツは色こそ刺激的だけれど、形は端正なテーパードで、素材もポリエステルウールできれいめ。インナーに白のハイネックを仕込むことで、大人なきれい色であるセージと刺激の強いバレンシアオレンジを、無理なく同じ空間に居合わせてくれます。

普通に生活していたら触れ合うことがなかったであろう “友達” を姪のおかげで繋いでもらったり、袖をとおしてみないとわからなかった冬のトリコロールをBEIGE,で発見したり…。なじみ深いものも大切にしながら、ちょっとした刺激や新鮮味も受け止めて、生活を豊かにしていきたいな…と思う、11月でした。


カーディガン/¥36300(税込)
ブラウス/¥26400(税込)
カットソー/¥19800(税込)
パンツ/¥34100(税込)


【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。