2021SSEssence

2021/05/28

【サンドレス】10年かけて育てる、大人のリネンデニム

今回は“夏の思い出”について。

幼いころの夏休みと言えば、母方の祖父母が住む新潟へ、約1週間遊びに行くことでした。滞在期間中、車で数十分のところにある山中の温泉宿に連れて行ってくれたり、真っ青な日本海で海水浴をしたり、遠出して佐渡ヶ島へ行ったりしたことも。

けれど、それらのどの場所よりも、祖父母の家の徒歩10分圏内で過ごすのが私は好きでした。

腰の曲がったひいおばあちゃんと一緒に、畑のとうもろこしを採ってくること(小学生の私は両手に体重をかけてやっとなのに、当時80すぎのひいおばあちゃんは片手でどんどん採っていた)、おじいちゃんの古い自転車を借りて、車が全然通らない田んぼの真ん中を、妹と一緒に二人乗りすること(とはいえ二人乗りは危ない、やめましょう笑)、そして、おばあちゃんの洋裁作業を隣りでじーっと眺めること。名古屋生まれ名古屋育ちの私には、祖父母たちの日常そのものがスペシャルで、楽しい時間でした。

洋裁の先生だった祖母が作ってくれる夏の定番、サンドレス。

名古屋で母と一緒に選んだ生地とデザイン画、寸法表を送っておくと、祖母が夏休みまで9割がた作ってくれていて、私たちが到着後、実際に着て脇の開きや首の詰まり具合を微調整。そうして完成した、体にもイメージにもぴったり、できたてほやほやのサンドレスを着て名古屋に帰る。

でもまあ子供の成長は早いので、2年もするともうお気に入りのサンドレスがサイズアウトしてしまうのでした・・・。

今シーズンのBEIGE,でデビューした初のカジュアルライン“BEIGE,ecru”は、いい意味で手作り感があって。あの頃のウキウキした気持ちが蘇り、ついつい長く語ってしまいました。

デザイナー宮下さんのインタビューにもあるとおり、働き方やライフスタイルの変化に伴い、“見せる”ためではなく、着る人自身に“寄り添う”、心を豊かにしてくれる服、がコンセプトの“BEIGE,ecru”。

カジュアルを“ラフ”以外の解釈で落とし込んだ、なんともBEIGE,らしい心意気がカッコイイではありませんか!

このサンドレスは、イタリア老舗メーカーのリネンを織りによってデニムのように仕上げているそう。だから、リネン100%のドライな気持ちよさと、程よいハリを両立させています。

首周りはキーネックですっきり、ウエストからたっぷりのフレア。くるくると回りたくなるほど、ドラマティックなシルエットです。

天然素材なので、ゆっくり体に馴染みます。この先5年、いや10年、夏を迎えるごとに一緒に変化を楽しめる、そんなサンドレスがあってもいいと思いませんか? 大人になった私たちの身長は、あの頃のようにはもう伸びないことですし、ね♡


ワンピース/各¥59,400(税込)

 

【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。