2023SSEssence

2023/06/02

vol.8【シアーカットソー】面倒なことありきの美しい夏服
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」

結婚して5年、人の親になって半年。“知らなかった私”にたくさん出会っています。

例えば、“ルールが多い私”。

決して几帳面ではないものの、ここだけは譲れない!というポイントがいろいろあるようです。夫曰く、「俺の行動をこっそり監視して、物申したげな顔をしている」んだとか(文字で書くとホラーですね)。

産後からずっと週6,7の頻度で夕食を担当している夫に「ありがとう!」と口で言いつつ、目を光らせている(笑)。夫が調理しながら用意した皿を、しれっと別の皿に差し替えているんだそう。「え、本当に?」と反論しようとしたものの、冷静に振り返って納得。たしかに昨日も「あの量であの食材なら、黒の角皿より青いオーバル皿のほうが合うな〜」と考えて、知らず知らずのうちに手が動いていました。

“ひとりごとが多い私”。

子どもをベビーカーや抱っこ紐に入れてひとりで移動しているとき、とにかくひとりごとを言いまくっている(笑)。基本的には息子が機嫌よくしていられるように…と思ってのことだけれど、それに加えて自分自身を落ち着かせるために、息子にというより自分自身にむかってひとりごとを言っている(笑)。そんな様子だから、電車やエレベーターで居合わせたかたがよく助けてくださる。きっと、ひとりで頑張っている(テンパっている)母に見えるんだろう。ありがたい。

独り身のほうが身軽だったし気楽だった。その軽やかさを懐かしく思うことも多々ある。けれど、夫や息子という他者を介して“知らなかった自分”を知らされることで、「ああ、私ってしょうがないやつだな」と、いい意味で諦め、肩の力が抜けてきた。この気づきは、今後の私自身を助けてくれるだろう。

面倒も多いけれど、自分とは違う何かのおかげでこれまで以上に楽しめるということが、ファッションにもある。夏でいえば、インナーありきのカットソー。

ここ数年ですっかり市民権を得た、シアーカットソー。BEIGE,でも素材やデザインが数種類出ています。


ドライなタッチのハイネックニットカットソー、とろっとした肌触りのジャージーカットソー、同素材のビッグシルエットカットソー。

なかでも私自身さっそく愛用しているジャージーカットソーは、本当に繊細。デザインはごくごくプレーンでクセがないのに、なんだか雰囲気たっぷりです。


ラクなはずのカットソーだけれど、素材がシアーだからインナーは美しいカッティングのものが必須。白には白のキャミソール、黒には黒のキャミソールを。タンクトップもアリですが、私としては肩紐が細く胸のパッドは薄い、女性ならではの丸みを極力感じさせない、そっけないものが理想です。

インナーにこだわると、主役であるカットソーの良さも増し増しで素敵に見えてくる。いっけん面倒にも思えることが愛おしくなる工夫は、生活のなかでもファッションでも、模索していきたいと思う…そんな夏の幕開けです。




シアービックTシャツ/¥19,800(税込)
シアーTシャツ/¥17,600(税込)
シアーニットトップス/¥29,700(税込)
カーゴパンツ/¥39,600(税込)



【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。