the essence

2023/04/21

vol.4【ブラウス】プレゼントの醍醐味を考える
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」

最近ありがたいことに贈り物をいただくことが多々あり、そのひとつひとつがとてもユニークで、“贈ること”について考えるきっかけになりました。

たとえば、高校時代からの友人からの牛肉セット。…といっても、いわゆる桐の箱に入ってブランド名のシールが光るギラギラ系のお肉(笑)ではなく、A3サイズくらいの大きめの白いトレイにぎゅうぎゅうに敷き詰められた赤身薄切り肉。包装も透明のラップで密閉されている本当に簡素なもの。でも見るからにおいしそう! そしてその晩、すき焼きにしてみてびっくり!! あの有名なすき焼き店、○半にも引けを取らない、口の中ですーっとなくなるお肉! 退院して2週間、へとへとになりながら初めての育児に奮闘してきた私たち夫婦の五臓六腑に染み渡り…泣きながら(本当に泣きながら)頬張りました。

祖父母の代から続くお肉問屋を営んでいる彼女。しかも、うちより2か月先に出産した“先輩”でもある彼女。聞けば「取引先(そこも問屋)が毎年、年末だけ販売する特別なお肉なんだ」とのこと。プロが美味しいと思うものを選んでくれた、精をつけるために贈ってくれた、そのことを想像して、またふたりで泣きました。

そのほかにも、妊婦の間にも仕事をさせてもらったデニムブランドのプレスの男性から「幼いころ母に連れられてよく行った洋菓子店の紅茶とジャム」をいただいたり、某セレクトショップのプレス女性は「お気に入りのチーズクッキー」を取り寄せてくださったり。二児の母である友人からは「ここの服、素材もいいしかわいいの〜」とベビー服が届きました。

なにがうれしかったって、それぞれが個人的な思い出込みで贈ってくださったこと。「おいしいのよ〜」「いいお店なのよ〜」と実体験をもとに胸をはってオススメする。私も基本、自分が食べたことがあるもの・愛用しているものを選ぶようにしているので、「やっぱりこれがプレゼントの醍醐味よね!」と改めて実感しました。

そういえば私、BEIGE,のアイテムもプレゼントしたことがあります。

姉が40歳になる誕生日に。5つ歳の離れた姉。当時後輩が増えてきたこと、クライアントとの会食で帰りが遅くなること…などを聞いていました。ならば…と、当時私自身お気に入りだった白のロングブラウスを「これ着て仕事がんばってね」の気持ちを込めて贈りました。気に入ってくれているのを見たときは本当にうれしかったな。

そして、今季のブラウスも、実に贈りたくなるブラウスです(笑)!


シャリっと清涼感のある生地でつくった襟元ギャザーのブラウス、花びらのようなカフスのブラウス、そして、私のイチオシ、開襟フリルブラウス。


マットかつ程よい肉感のポリエステルを使っていて、体のラインを拾わずさらりと落ちるこのブラウス、襟から前立てまで同色のフリルがあしらわれています。“フリル”の響きでフェミニンな様子を想像しますが、着てみると大人の体と馴染みがいい! 浮かない!


その理由は、フリルを同素材にしていないこと。同素材だとボテッと重たくなりがちですが、一段軽いシフォン素材でフリルを表現することで、軽やかに見せているのです。

オススメは、第一ボタンをとめずに開襟ブラウスとして。顔まわりがすっきりしつつ、でも華やか。リブスカートともデニムとも好相性です。

お世話になったあの人に贈る前にまずは自分へ。前回vol.3の流れでは白を選びたくなりますが、やっぱり春夏の黒も捨てがたい…。実はこの記事がアップされる直前にSOLD OUTになったそうで…、再販を今か今かと心待ちにしている私です(笑)。

開襟ブラウス/¥29,700(税込)
バンドカラーシャツ/¥35,200(税込)
ラミーギャザーブラウス/¥27,500 (税込)
ニットスカート/¥35,200(税込)



【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。