2021SSEssence

2021/06/11

【ワンピース】女の種類を“分断”しない夏の服

子供のころや前職での思い出といった“昔ばなし”多めなこのコラム(笑)。たまには“今”のことを書いてみようと思います。先日、久しぶりに映画を観に行った話、です。

『あのこは貴族』。

原作は、山内マリコさんの同名小説。公開前から楽しみにしていた作品でしたが、例の緊急事態宣言のさなか、上映される場所はごくわずか。小さな劇場へ足を運びました。

ストーリーをネタバレしない程度に少しだけ。

東京生まれ東京育ちの箱入り娘・華子と、地方都市から大学進学を機に上京した美紀。同じ東京にいながら、まったく接点のなかったふたりの女性が20代後半、あるひとりの男性・幸一郎という共通点で知り合うことになって……。

この時点で「むむ、女同士のドロドロ話か!?」と思うでしょうか? 私も映画を観ながら、そう思いました。でもまったく違うんです。ドロドロにならなかったのは、華子の友人・逸子の存在。華子と美紀、それぞれの幸一郎との関係を知った逸子は、ふたりに「女同士を分断したくない」と言う。そう、「女同士を分断したくない」----この言葉こそがこの映画のテーマなのです。

私たちは、知らず知らずのうちに刷り込まれているんですよね。年齢、既婚・未婚、子供の有無、専業主婦と働く女性、嫁と姑……。どうしてか、対立構造を作られがちな女性たち。

この映画を観た帰り道、私は前職での先輩との会話を思い出しました。入社して半年過ぎたくらいのある日、3つ上の男性の先輩に、「小林は会社の女子で誰と仲がいいの?」と。その質問の意図は、「どのグループに属しているの?」でした。

なんて答えたのかは忘れてしまったけれど、なんだかガッカリしたことは覚えていて。帰る方向が同じのAちゃんとは電車で会えば話すし、隣りの部のBさんとサクッと屋台で飲むのも楽しいし、男性の同期や先輩とも割と仲はいい方だし、でもまあ、ひとりでお笑い記事を読んで笑いをこらえながらランチするのが至福だし。

無理やりカテゴライズされて「小林はこういう人」と思われるのはなぁ……と。でも同時に、先輩の質問に深い意味はないこともわかっていたから、適当に流しました。

今回、なんでこんなことを書こうかしたか。それは、ファッションでは「女性を分断」しなくていいのでは? と思ったから。常々考えていたのですが、逸子の言葉に背中を押されました。そして、常々思っていたのですが、BEIGE,の服には「分断」しない雰囲気があるな〜と。
特に今回のワンピース。前回のvol.8と同様、新ライン“BEIGE,ecru”シリーズのワンピースで、通常のBEIGE,よりも肩の力の抜けたデザインが特徴です。

綿麻にレーヨンを合わせていて、ナチュラルな風合いときれいな落ち感。シワが深く刻まれないから安心して生活ができる、便利な生地。デザインは、身頃も丈もたっぷり分量をとったカフタンワンピース。細くデコルテがのぞくV開きも美しいし、袖を折ると腕周りにニュアンスが生まれる。年齢も結婚の有無もその他諸々において着る人を「分断」しない、どんな人にも似合う、包み込むような夏のワンピースです。
私は迷いに迷って、墨黒(表記は“スチール”)色に。今年の夏も、来年の夏も、その後もずーっと、私の夏を見守っていてほしいと願って。


ワンピース/各¥39,600(税込)

 

【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。